ワイナリーについて
1903年に創立されたエステイト・アルギロスは現在、4代目であるマシュー・アルギロスによって運営されています。サントリーニ島のエピスコピを中心として120haのブドウ畑を所有しており、フィロキセラによる害を免れたことから、接ぎ木をしていないブドウの樹は平均樹齢70年、最も長いものでは島の中でも最長寿とされる樹齢200年のものもあります。エステイト・アルギロスでは、アシルティコやアイダニ、マヴロトラガノといったサントリーニ島土着の品種のみを用いた素晴らしいブティックワインを作ることを信条としています。
ワインの質に対して妥協することなく、その絶妙な味わいやワインの特長、エレガントさに重きを置いています。
2世紀という長い年月に渡り、エステイト・アルギロスは時代と共に進化し続けてきました。現在ではブドウ畑の真ん中に、ワイナリーの建物が新しく作られています。この建物はサントリーニ島のユニークな環境に適応するようにデザインされましたが、高品質なワインの生産に求められる厳しい基準は全て満たしています。2世紀以上にわたってブドウの栽培およびワインの生産を続けてきたエステイト・アルギロスは、一過性ではない、素晴らしい評判を勝ち得てきました。火山というユニークな土壌、厳しい気候、我々の遺産であるブドウ、そして私達の情熱が、サントリーニ島から皆様にお届けできる最高のワインを作り出しています。
サントリーニ島について
サントリーニは、南エーゲ海に浮かぶキクラデス諸島の島々の一つです。島のブドウ栽培地域は約1,400ヘクタールで、海抜から始まり、場所によって150から250メートルのカルデラまで段々畑のように上がっています。
土壌は、火山灰と軽石が混ざったもので、島の全長にわたって、マグネシウムや鉄からなる大小の岩石や、大小の溶岩が堆積していますが、これらはすべて火山性のものです。軽石(小から極小の多孔質石から成る)は、地表からかなりの深さまで広がっています。
サントリーニの土壌は砂質で、厚さ40メートル以上の層があり、約3600年前のもので、半結晶質の石灰岩と片岩からなる下層の影響を受けません。マグネシウムと鉄からなる大小の岩石が大量に存在することが、サントリーニの土壌の特徴を決定付けています。これらの地層は土壌をカルシウム、マグネシウム、鉄で豊かにし、異なる水分含有量を持つ土壌を作り出しています。
サントリーニ島の土壌は、有機物の含有量が非常に少ないのも特徴です。窒素、リン、その他ほとんどの微量元素の含有量も同様です。粘土が少なく、砂が93〜97%と非常に多いため、フィロキセラという害虫にとっても過酷な環境を作り出しています。フィロキセラは、前世紀に世界中のブドウ栽培地の大部分を根絶させましたが、サントリーニ島はその害から逃れることができました。
サントリーニのブドウ栽培地域は古く、品種も古代にさかのぼります。先史時代の都市アクロティリの発掘で見つかった考古学的な発掘物は、紀元前17世紀頃からティラ(サントリーニ島)にブドウ畑があったことの明確な証拠となるものです。しかしこの先史時代のブドウ栽培地は、紀元前1620年ごろの火山の大噴火で破壊されてしまいました。その後、紀元前1200年頃に島に再び人が住むようになり、新しい火山性の土壌にブドウ栽培地が復活しました。サントリーニ島のブドウ栽培地は3000年の歴史があると言っても過言ではないのです。今日まで途切れることなく栽培され、ブドウとワインは島の経済、社会、文化生活の中核を担っています。
サントリーニ島の気候は地中海性気候に属し、冬は温暖で夏は涼しく、夏には強い北風が吹き、その期間は1ヶ月にも及びます。ブドウの木はこの北風によって、海風による熱から解放されるのです。年間平均降雨量は最大350mmで、平均気温は16.5οCです。
夏の夜、日中の気温が高いために海、特にカルデラの海が作り出した湿気が、土やブドウの葉の表面に優しい雨のように降り注ぎます。この「雨」は、地元では「プーシ」(海から立ち上る霧の意)と呼ばれ、日中の高温からブドウの木を癒してくれるのだそうです。夏の夜、島に降り注ぐ冷気は、昼夜の温度差が大きいため、サントリーニ島で生産されるワインの品質の高さにつながっています。
アシルティコについて
アシルティコは、地中海沿岸で最も偉大な品種の一つとされる、希少で上品な白ブドウです。原産地はサントリーニ島(アシルティコ・サントリーニ)ですが、現在ではギリシャ全土に広がり、最も重要な土着品種のひとつとなっています。主に辛口の白ワインを生産し、そのうちのいくつかはオークで熟成されますが、天日干しのブドウを使った甘口ワインも数多く造られています。
アシルティコは、高温で乾燥した気候条件のもとで生育し、同時に爽やかな酸味によって高いアルコール度数を絶妙なバランスで保つことができる、数少ない白ブドウ品種の一つです。フィロキセラの害が拡大した時にも、島という立地条件に守られたため、フィロキセラの影響を受けなかった数少ないブドウのひとつです。アロマティックなブドウというよりは、エキス、ボディ、ストラクチャーを強調した質感のある品種です。ミネラル感のある、非常に凝縮した白ワインが造られます。
風と日差しが強いサントリーニ島では、ブドウを保護するため、「クルラ」という特別な栽培方法が用いられます。ブドウの枝をバスケットのように編み、そのバスケットの中でブドウを大切に守ります。そうして作られたアシルティコは、サントリーニ島の何千年もの歴史をぎゅっと凝縮したような、濃密なミネラルを感じさせるブドウへと成長するのです。